このタイトルを見た瞬間から
惹かれてました。
「あやうく、一生懸命生きるところだった」
2018年に韓国で発売されたベストセラーです。
韓国は、日本以上の学歴社会。
最近日本でも、45歳定年制なんて話題になりましたけど、
韓国は90年代アジア通貨危機を経て、
ガチで定年の早い国になりました。
この本の著者も、
そうしたサバイバル社会で生きてきたひとり。
ところがある日、
「こんなに一生懸命に生きているのに
なんで自分の人生はこんなに冴えないんだ」
と、常識に抗いセミリタイア。
セミリタイア生活を通じて感じたことを本にして出版したのが、
あやうく一生懸命生きるところだった。
ちょうど年代もボクの少し上くらいでしょうか。
もうね、名言のオンパレード。
しかもユーモアにあふれてる。
例えも分かりやすい。
あと、翻訳が絶妙なんだと思います。
やっぱり、韓国人って日本人と感覚近いと思いました。
「孤独のグルメ」でてきますしね。
別に、一生懸命生きることを否定したり
不安を煽るわけじゃなくて、
「僕はこういう風に生きてみたら意外とよかったよ」
って言ってるだけなんです。
そこがいい。
そこがすんなり入ってくる。
ボクは、ちまたの学習系ユーチューバーのような
「え!?この程度の知識も知らないあなたやばいよ!世の中の真理真実はこうだよ!」
という発信は苦手です。
別に、やばくないし。
ある日のハ・ワンさん(著者)
あと10分我慢して登れば山頂だと言われて
ひぃひぃ登ったのに
10分経っても頂上は現れなかった。
チクショウ、もう限界だ。
難しい言葉は一つも使われていませんが、
この本は「人間の幸せ」について書かれた本です。
孤独のグルメの主人公は言う。
「まずは当たって砕けろだ。失敗したときは後悔すればよし。」
そうなんですよ。
後悔上等じゃないですか。
やらない後悔よりは。
人生を何かのミッションと設定すると、
あまりにも思い通りにならない人生に
心はすり減ります。
明確な目標と目的がある行動は、
いわば”成就”の領域であり、
”楽しみ”ではない。
偶然の楽しみでいっぱいの目的のない一歩。
これこそが人生を豊かにしてくれる醍醐味なのかもしれない。
人生という物語は、
楽しい方がいいです。
楽しむことになぜ潜在的な抵抗感があったんだろうと思います。
この本にも書いてあるように、
人生に結果だけを求めるなら、
雑誌の車内広告みたいなものです。
名作「オセロー」も結果だけ抜き出せば、
【愛に目がくらんだ移民、元老院委員の娘を殺害】
で終わります。笑
ちっとも惹かれない。
悲劇の主人公たちへの共感や理解は消え、
代わりに嘲笑と軽蔑が生じます。
ボクらの人生も、
結果だけみたらあまりに冴えない人生は、
自分に対する嘲笑と軽蔑が生じる。
そういう人生にしたいかどうか。
結果のために耐えるだけの人生じゃない生き方もある。
そう気づかせてくれる名著です。