続けられるかたちを探して  ―うつ病というわたしの一部―

何度も壊れて、そのたびに生き方を作り直してきました。 うつ病とともに働き、休み、 障害者として社会と向き合う今があります。 「頑張れば報われる」から降りた先で見えた、 無理をしない生き方のメモ。 ここは、立ち止まってもいい人のための場所です。

役場を去った老兵が教えてくれた、沖縄というアウェー

いま沖縄のショッピングモールといえば、
イオンライカムです。

 

沖縄初のショッピングモールで、
6年前のオープン時には
駐車場に入るのに5時間待ちだった、
という話も聞きました。

 

そして、
それを沖縄の小さな村に誘致した立役者がいます。

 

その人は、
わたしの所属する沖縄の小さな会社の設立にも
深く関わった人物でした。

 

もと国家公務員で、
当時の村長に請われて
村役場に転職したという、
少し変わった経歴の人です。

 

一度だけお会いしたことがあったので、
今回の出来事をきっかけに連絡をとり、
一緒に飲みに行きました。

 

その方はすでに退職していて、
いまは役場と一定の距離をとっています。

 

その人のアドバイスを
一言でまとめると、こうでした。

 

「ぐっちくん、ここはアウェーなんだよ」

 

沖縄には、
立場や出自による序列のような感覚がある、
と彼は言います。

 

外国人、
ナイチャー(沖縄以外の日本人)、
離島出身者──。

 

そうした区分が、
暗黙の前提として存在している、
という話でした。

 

サッカー日本代表が
完全アウェーの国で試合をするときに、
ホテルの隣の部屋で
わざと工事をされるようなものだ、と。

 

ここに来ることを選んだのは
自分自身なのだから、
それ自体は仕方がない。

 

彼自身も、
村役場で
「こいつの言うことなら聞いてやろう」
と思われるようになるまで、
4年かかったそうです。

 

そのために必要なのは、
感情でも正論でもなく、
技術だ、と。

 

たとえば運営スキルのようなもの。

 

国の外交と同じで、
表では笑って相手を立てながら、
水面下では
虎視眈々と力を蓄える。

 

移住者が増えてきたいまは
少しずつ環境も変わってきているのかもしれませんが、

 

彼が役場に入った10年以上前は、
いま以上に、
いわゆる「地方」だったのだと思います。

 

沖縄は、
被差別の歴史が語られることが多いですが、

 

一方で、
ウチナンチュ、ナイチャーという言葉があるように、
内と外を分ける文化も、
確かに存在しています。

 

中に入ると、
特に肝心な場面で、
それを感じることがあります。

 

表面的には、
みんないい人たちです。

 

もう一つ、
彼が話してくれたことがあります。

 

内地の基地は国の土地ですが、
沖縄の基地は、
私有地を国が借りているケースが多い。

 

沖縄には、
特に軍用地を中心に
土地を多く持つ人たちがいます。

 

結果として、
豊かさと貧困の差が
とても大きい。

 

土地を持つ側にとっては、
「いま」が最適解であり、

そこに変化を持ち込もうとする存在は、
歓迎されにくい。

 

森岡毅さんも
本の中で書いていますが、
人間には
現状維持バイアスがあります。

 

とりあえず生きていけているなら、
食べ物があるかどうかもわからない
隣の山に移る必要はない。

 

それは、
とても自然なことです。

 

ただ、
環境を揺さぶる要因が多かったり、
文化が混ざり合ったりすると、

そのバイアスを超えて
成長する機会も生まれます。

 

それがある地域と、
ほとんどない地域で、
ここまで違うのか。

 

文化人類学的に見ても、
とてもおもしろい。

 

わたしは、
それを肌で感じる当事者になりました。

 

だから、
沖縄に来るということは、

癒しを求めて、
というよりも、
変化を求めて、
なのかもしれません。

 

ここに来たら、
もまれて変化する。

 

どこかで、
そう感じ取っていたのだと思います。

 

それが、
アウェーで戦うということの
よさです。

 

そのくらい劇的でないと、
人は変わろうとしない。

 

「大きく変わる」と書いて、
大変。

 

本当に、その通りだと思います。

 

ちなみに。

わたしや沖縄の小さな会社に対して
強い距離感を示す
ある役職者がいるのですが、

その人は、
かつてこの話をしてくれた元公務員とも
うまくいかなかったそうです。

 

アイデアは豊富だけれど、
事務を回す力が弱い。

 

そういう評価でした。

 

それを聞いたとき、
わたしは思わず笑ってしまいました。

 

それって、
以前この沖縄の小さな会社にいた
ある責任者と、
そっくり同じ評価だったからです。

www.artofnaturalway.com

 

つまり、
これもまた
ウチナンチュの文化的特徴の一部。

 

良いとか悪いとかではなく、
そういう構造がある、
という話です。