こんにちは、ぐっちです。
以前、
「自立とは依存先を増やすこと」
という言葉が心に強く残った、という話を書きました。
この言葉を使われていた
東京大学教授の安冨歩さんに興味を持ち、
著書『生きる技法』を読みました。
とても共感し、
正直、かなり衝撃を受けました。
「こういう本が、
ちゃんと世に出ているんだ」
それだけで、
随分と勇気づけられたのです。
特に、
人からどう見られているかが気になって仕方ない人、
八方美人になって疲れてしまう人に、
ぜひ一度触れてほしい本だと思いました。
少し長くなりますが、
お付き合いください。
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このブログを始めたとき、
わたしが強く感じていたのは、
「人はそれぞれ孤独に悩み、
苦しみ抜いた末に、
とてもよく似た工夫にたどり着く」
という不思議さでした。
自然な生き方に近づくための
紙一枚分の工夫は、
人間の生き方の本質に
触れているのではないか。
『生きる技法』は、
その予感を
「確信に近いもの」に
引き上げてくれた本でした。
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安冨さんは、
わたしが心に響いたあの言葉、
「自立とは、多くの人に依存すること」
を、
生きるための根本原理として据え、
丁寧に展開していきます。
ですが、
私たちの常識ではどうでしょう。
自立とは、
依存しないこと。
一人でできること。
そう思って、
勉強し、
働き、
家事も育児も仕事も、
一人で抱え込んでしまいます。
「一人でなんでもできてすごい」
そう評価される世界で、
私たちは生きています。
けれど、
安冨さんは逆のことを言います。
「助けてくださいと言えるなら、
それはもう自立している」
と。
とても面白い発想です。
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なぜ、
多くの人に依存すると
自立できるのでしょうか。
それは、
人間は
何にも依存せずに生きることが
そもそも不可能だからです。
依存しないように、
依存しないようにと生きていくと、
依存先は減っていきます。
けれど、
ゼロにはなりません。
その結果、
残ったわずかな依存先に、
強烈に依存することになる。
洗脳、
ストーカー、
DV、
依存症、
権威への従属。
それが、
「依存しない自立」の
行き着く先だと
安冨さんは指摘します。
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では、
依存先を増やすために、
やみくもに友達を増やせばいいのか。
どうやら、
それも違います。
外部の基準
(肩書き、上下関係、お金、ステータス、
共通の敵など)
でつながった関係は、
増えれば増えるほど、
人を苦しめます。
安冨さんが言う「友だち」とは、
お互いが
自然な状態でつながる関係です。
これは、
以前わたしが書いた
「悪口を言えば言うほど人間関係が苦しくなる」
という話とも、
とても近い感覚でした。
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驚いたのは、
『生きる技法』を読んでいない時期に
書いていたこのブログと、
内容が驚くほど重なっていたことです。
安冨さんは、
人を縛るものを
「自己嫌悪」と呼びます。
わたしは、
それを
「固定観念」「強迫観念」
と呼んできました。
そして、
安冨さんの核心の一つが、
この言葉です。
「愛は自愛から生じ、
執着は自己愛から生じる」
少し難しく聞こえますが、
とても大事な視点です。
自愛とは、
自らその身を大切にすること。
自己愛とは、
ナルシシズムや
自己陶酔のこと。
まったく別物です。
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例えば、
休日を昼寝で過ごしたとします。
多くの人は、
「せっかくの休日を無駄にした」
と自己嫌悪に陥ります。
でも、
身体は眠りを欲している。
それを否定しているのは、
「休日は有意義に過ごすべき」
という外側の基準です。
自然な生き方とは、
こうした自己嫌悪から
そっと離脱することなのだと、
わたしは感じています。
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安冨さんは言います。
自己嫌悪は、
自分自身の悪さから
生まれるのではない。
外にある価値を
「正しい」「すばらしい」と思い込み、
それを持たない自分を
責めてしまうところから
生まれるのだ、と。
だから、
「自分のダメなところを直す」
という態度では、
自己嫌悪から抜け出せません。
ありもしない「正しさ」を追って、
迷宮をさまようだけです。
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では、
自己嫌悪から離脱し、
自愛を身につけるにはどうすればいいか。
安冨さんは、
こう書いています。
「自分が帯びているものを一つずつ見直し、
本当に必要なものと、
そうでないものを見極め、
不要なものを手放すこと」
それはつまり、
自分の声を聞く感覚を
取り戻すこと。
このブログで書いてきたことと、
本質的に同じだと感じました。
自己嫌悪から離脱すると、
ときに周囲から
攻撃されることもあります。
でも、
それについても
『生きる技法』の
「友だち」の章が、
とても丁寧に支えてくれます。
八方美人で疲れている人、
人の評判に振り回されてしまう人。
一度、
この本に触れてみてください。
静かですが、
確かな支えになる一冊です。
