こんにちは!
ketoraaaです。
前回は、2年ぶりにうつ病が再発し、仕事を休職したところまでお話ししました。
私としては、以前書いたような予防策をとってきたつもりでした。
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多くの方が経験することだと思いますが、思いつく限りの予防策を施しても病気になってしまうとき、「何か自分に良くないところがあって、これはその罰に違いない」と、強くなった自責の念と、因果関係をはっきりさせたいという渇望が結びつき、超越的な何かという答えを導き出すことがあります。
また、藁にもすがる気持ちで、これまで思いつきもしなかった選択肢に手を出してみたりもします。
私も、知り合いの強い勧めと、考えること・判断することが億劫なこともあり、今まで一切縁がなかった宗教というものに入信することになりました。
考えても分からない、頑張っても解決しない問題に対して、「霊魂」といった神秘的な論理に解決の糸口があるのかもしれないと、藁にすがったのです。
私は、宗教というと、「閉鎖的」「洗脳」「高額な壺」というイメージしか持っていませんでした。
ですが、紹介されたその宗教は、一応お金の面で明確で、教義も私の宗教に対する固定観念とは異なるものでしたので、そういう面でのハードルがなかったこともありました。
その宗教では、人間が元々持っている力を高めて、非自然的な要因で人体に蓄積してしまった毒素を排出する方法を教えていました。
同様の主旨から、薬は、人間本来の力を奪うものとして、できれば飲まずにいた方が人間本来の力を取り戻せるとされていました。
また、現世は魂の修行の過程と考えていました。
その考えでは、人間は、現世はせいぜい80年程度ですが、魂としては万年単位で継続した存在で、現世には魂を磨くために修行にきているとされます。
そのため、現世で起こる辛苦は、魂が向上するために必要なものであり、そういう意味では苦労を背負うことは魂の向上に必要なものであるので、病気や事故、他人からのいやがらせも、魂を磨く肯定的なものとして捉えるのです。
流れの穏やかな小川では、球は磨かれませんが、濁流であればあるほど、角がとれて真球に近づくという訳です。
この宗教で教えるような神秘的な力があるのかないのかは、いまも分かりません。断定しようとも思いません。
しばらく先に登場する認知療法の回でお話ししますが、因果関係が思い当たらない場合、「霊魂」レベルでの自分の罪穢ではなく、単なる思い込みということもあります。
ですが少なくとも、こういった宗教の論理を使うことで、死や病といった、合理性だけでは説明できないことを、宗教という体系の中に位置づけることはできると思いました。
また、世の中には合理性や因果関係では説明のつかないことが、本当にたくさん起こります。
体系の中に位置付けられれば、「何かの罰なのか」「何か原因となることをしてしまったのか」という自責感や、死や病といったものへの執着を弱め、他のこと、いまを生きることに力を注ぐこと助けとなる可能性はありそうです。
また、何かを成し遂げることや物質的豊かさを得ることだけを評価する、自分を苦しめる現代的な価値観と距離を置いて、困難を抱えることで新しい英知を得るという、新しい物の見方を獲得する助けともなると思います。
休職から1か月くらい経つと、身体の重みが和らぎはじめ、「もしかして、以前と同じように1か月半くらいで回復するのでは」と淡い期待を抱きました。
しかし、その直後、朝起きると突然また身体が鉛のように重くなっていました。特別何かをやったわけはなく、訳が分かりませんでした。
こうなると、些細なことも自分のやること全てが、うつ病と関連した否定的なことのような気がしてきました。
トイレの蓋を開けておくか閉めておくか、靴を玄関に置くか靴箱にしまうか、スーパーのビニール袋をたたむかですら「どちらがうつ病を避ける習慣だろうか」と悩みました。
運動する=疲れるというような経験則が通用しないと、無意識で行う習慣全てを、一度立ち止まって改めて意識して行うことになり、何をすればどうなるのか、全く分からなくなりました。
薬を飲むかどうかも何度も迷い、入信したこともばからしく恥ずかしくなり、主治医に打ち明けました。
すると、主治医は慣れた様子で、
「因果関係のない体調の波は、自然の流れなので気にしなくてよい。宗教は観念、科学は平均。薬を飲まず奇跡が起きるような平均から外れる現象も科学的にはあり得る。宗教を勧める方は、良いものだという思いがあって健康食品を勧めるくらいの感覚で勧めてくれていることが多い。負担にならずバランスがとれていればいい。医学的な平均では、医療否定によって薬をやめて悪化する人がほとんどなので、薬をやめることはおすすめしない」
と言ったので、かなり気が楽になりました。
つづきます。
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